プレーオフ雑感:第一ステージ特有の難しさ

 さて、来年から中央リーグでも導入されるらしいプレーオフ。そんな事情もあるので今年のうちにある程度分析しておこうと思うわけです。

全体感想

 初戦は松坂が華々しく完封で飾ったわけですが、二戦目以降は打線の覚醒したソフトバンクに終始押されぎみだった。 
 投手陣の陣容は確かにソフトバンクが一歩リードしているとは思いますが、それ以上に本当の意味で全力ではぶつかれないという第一ステージ特有の難しさがある、と感じた。
 
 具体的にいうと、三試合だからといってローテーションの一番良い投手を三人ぶつけるわけにはいかないということ。試合の間隔が近接してしまっている関係で、第一シリーズ第一戦で先発した投手を第二ステージの頭に使えない。簡単に言うと松坂と斉藤を第二ステージの頭に使うのは厳しいという事だ。
 その条件の上でローテーションの柱を三枚ぶつけてしまうと、第二ステージの初戦は四番手の投手という事になってしまう。当然相手のチームはエースが出てくるのでかなり分が悪い事になり、しかも今年から一位のチームには一勝のアドバンテージがある。初戦を落とすと残りの試合を全て取らなければならなくなる。これはさすがに厳しい。
 
 両チームともその事を感じた上で、西武は二戦目に松永、ソフトバンクは三戦目に寺原を持ってきた。西武は上手く二連勝できれば西口を第二ステージ第一戦に回す事が出来るし、仮に一つ負けても涌井は使える。ソフトバンクは新垣が帰ってこれるのか分からないが、それでも杉内は使える。
 
 つまり、「投手陣を全員使うつもりで」と口では言いながら、実際は出来る限り出し渋る方向でいた。それが2戦目以降の采配に出てくる事になる。

個別感想

 初めに上記の傾向が出てきたのは第二戦。西武の先発松永の交替機である。
 序盤の三回は順調だったが、4回に急に乱れて結局押し出しの後にタイムリーを浴びている。あくまで「奇襲」に過ぎないルーキーが捕まり始めたのだから、本来なら遅くてもカブレラを押し出した時点で変えるべきであった。
 それでは何故遅れたのか。序盤の三回が良かった、次の打者が打率一割台の仲沢だった等の理由もあるだろうが、それ以上に松永を引っ張りたかったのだろう。出来るだけ投手を使わないで、少しでも余力を残したまま次にいきたい。その気持ちが結果的には不調だった相手の打線の覚醒を呼んでしまった。
 
 それは第三戦も同様。同点に追いつかれた8回のマウンドは山岸。涌井を投入するつもりならこの場面しかなかったのではないか。勿論涌井を投入したからといって結果が劇的に変わったかどうかは分からないし、監督の真意まではわからないが、この場面の投入見合わせは「涌井は第二ステージの第一戦で・・・」という気持ちの表れではないだろうか。
 
 そういう意味では大きかったのはソフトバンクは柳瀬が好投した点。出来るだけ余力を残して・・・という思惑は当然ソフトバンクにもあり、だからこその柳瀬なのだろうが、これが綺麗に当たった。この点が山岸が捕まってしまった西武との結果の違いになったのだろう。
 
 あくまで他所のファンの感想なので実際の選手の評価と多少ずれがあるとは思いますが、結局の所第一戦のポイントは「主力を多少温存しながらも相手を抑えられる層の厚さがある事」になりそうです。つまり2位以下が勝ち上がるためには今まで以上に投手陣の質が重要になるということでしょう。
 
 
 折角なので第二ステージの見通し。先発陣はソフトバンクに、救援陣は日ハムに分がありそうな感じです。なのでソフトバンクとしてはいかに早く先発を崩すかが、日ハムは出来るだけ先発が粘って接戦に持ち込むことが鍵になりそうです。何となく去年の日本シリーズに似ている気もします。
 勢いに関しては重症だったソフトバンクが復活の気配ありで、一方の日ハムは第二ステージまで進出するのは今回が初めて。また、多少試合間隔があいてしまっていることからも上手く力を出せないまま押し切られてしまう可能性もあります。
 
 そういうわけで一応はソフトバンク有利と見ておきますが、一勝のアドバンテージがある分、ソフトバンクは一気に決めてしまわないと厳しい事になりそうです。なので第二戦まで続けてソフトバンクが取ればソフトバンク、そうでないなら日ハムと予想しておきます。