こういう人間が法を学んではいけない

 メーカーのWEB通販が終わっている事に気が付き、どうしたものか・・・と思っていたわけですが、サウンドモードの曲はどうもフルバージョンっぽい事に気がつきます。
 ・・・サウンドモードで聞けるということは、インストールしたデータのどこかに入っているということです。なら抜き出しちゃえば良いのではないか。
 
 初めに断っておきますが、以下は自分が条文を読んだ上での解釈であり、実際この通り適用されることを保証するものではありません。
 
 
 ここで問題になるのは著作権法です。この法律を正式に勉強した事はないのですが、先ほどちょっとみてみた感じでは問題になるのは多分この部分でしょう。

(同一性保持権)
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

 つまり、音楽データを簡単に抜き出せない形で製品化している以上は、勝手に中身を探って他のプレーヤーで聞けるような形に変えるのはまずい、という事になりそうです。しかし、この条文には以下の但書があります。(必要部分のみ抜粋) 

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
三 特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変

 この条文を素直にこの問題に当てはめると、特定の電子計算機、すなわち自分のパソコンにおいては特定のソフトを起動した上でしか聞けないプログラムを、他のソフトでも聞けるようにするのは効果的に利用するために必要な改変、という事になり許されると解釈できます。
 条文をさっき調べて解釈しただけで、別個に判例を当たったわけでもないのですが、さっとみた感じでは抜き出し自体は問題ないように思われます。
 
 ただ、メーカーがサントラを出している場合もあり、ゲームの内部から抜き出してしまった結果サントラを買わなくなったのならば、メーカーに消極的に損害を与えたと考えられないでもない。この点をどう考えるか。
 一応上記理由により音楽の抜き出しが適法であるならば、メーカーにそれを阻止する権利は無い事になる。よって、簡単に抜き出せない方法を取ったにも関わらず上手く抜き出せてしまった場合は、正当な権利の行使という事になるだろうか。まあ、そもそも内部のデータをそのままCDにしただけの物を売っても駄目だろ、という意見はとりあえずしまっておきます。
 
 これと似たような問題は複製においても見出す事が出来ます。

(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
第四十七条の二 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。
2 前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなつた後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。

 所有者にはプログラムを複製する権利がある。すわなりゲームのコピーを作る行為自体は違法ではない。と解釈するのが素直でしょう。(もっとも、バックアップ等としてコピーを取る事が必要と認められる限りにおいてという事になりそうですが)
 しかしそれに対してメーカーが「コピーガード」を製品に施している場合もある。これは複製をする権利の侵害になるのではないか。これに関しても上記と同じように「ガードを破った以上は仕方ない」と解釈するのか、それともガードを施した以上はバックアップを取る行為は必要と認められる範囲を逸脱していて許されないと解釈するのか。「必要と認められる範囲」という条件をどう解釈するのかが問題になりそうです。
 
 これに関してはあくまで私見になります。
 確かにコピーガードを施した以上は「複製を拒否する」というメーカー側の明確な意思表示であると評価する事は出来る。しかし著作権者といえども、所有者の権利である複製を自らの意思のみで制限することは出来ないと言うべきである。また、そもそもコピーガードをそもそも複製自体を「必要な行為と認めない」とする意思表示にも取れるかもしれないが、「必要と認められる」かどうかは使用者によって様々に異なるのであり、そうであるならメーカーがコピーガードを施した事により、今まで認められていた権利が当然に認められなくなるとするのは不合理である。
 すなわちコピーガードはあくまでも権利を行使させないために著作権者が自発的に行った行為であり、そう考えるならばガードを破ってコピーしたとしても、直ちに著作権を侵害する行為であるとは評価されないと解する。
 
 もっともそもそも複製する事が必要な行為と認められる事を前提にして話しているので、この点が否定されたらそこまでです。そしてあくまで自分のためにバックアップを取る事が認められるだけで、それを他人に貸与したりする事が認められるわけではありません。勿論その物を売った後に複製を持ちつづけるのもアウトです。
  
 そう考えるとゲームを売った後にPCの中にゲームをインストールし続ける行為もまずいのでしょうか?起動にCDが必要なゲームであれば、売買後に複製したもので動かすのは間違いなくアウト。であれば、起動にソフトが必要ないソフトでも同様なのでしょうか。
 多分ソフト無しでの起動を出来るようにしたのは、ソフト交換の手間を省くためであり、売買後も著作物の利用を許可するという意思があるとは考えにくい。ならば認められないと解釈するのが正当でしょう。
 いや、そもそも物理的にプレイが可能かどうかという以前にゲームの所有権を放棄した時点でインストールしたゲームは消去しないといけないのだろうか。
 
 CDのデータをPCに入れたまま売却する行為は駄目だったと思うので、同様に多分駄目なんだと思いますが、詳しい検討ははぴねすが始めるので明日以降にゆずります。賃貸したCDのデータの複写その他がどうなのかも気になるところなので、その辺も明日以降
 
 ああ、万一抜き出すのがまずかったらどうするんだって?
 思いついたけど上手く抜き出せなかったんですよ。