どういう意図があるのか

 所沢がアマチュアの選手に栄養費を提供していた事が発覚しました。
 2年前に「大学NO1左右投手両取りキタコレ」と大喜びして、数日後に奈落の底まで落とされた事を思い出しましたが、問題の球団が実際に金銭を渡していたのも2年前ぐらいの事だとか。
 
 そうなるとちょっと解せません。いくらなんでも「今になって分かった」という事は無いでしょう。それなら「何で今になって発表するのか」。
 どこの球団もある程度は後ろめたい部分があるのでしょうし、この球団ばかり攻めても仕方ないのですが、正直「反省しているから発表した」との解釈は無理がありすぎます。それなら2年前に発表されていなければおかしいし、倫理協定(2005年6月に結ばれた、プロ入り前のアマチュア選手への一切の利益供与をしないという協定)に署名した後に金銭を渡している球団がそんなこと言っても説得力はありません。
 
 そう考えると、やはり「どこかに情報を掴まれて公表せざるをえなかった」という線が濃厚になります。(実際大洋と西宮が一場投手栄養費の時に発表したのもこんな状況だったと思います)ただ、それでもちょっと妙かなと。
  
 (この先は全て推論になりますので御承知の上で読み進めてください)
 
 妙、というのは「タイミングが良すぎる」という意味です。一場投手の問題でドラフトは分離になり、自由獲得枠が1枠に減って希望選手枠という名称に変わりました。
 ただ、正直現状はドラフト改革というには程遠く、自由枠が1枠減った代わりに高校性の目玉選手にも入札できるようになるという、訳の分からない制度になっています。(当初は希望枠と高校生の一位入札の選択だと思っていました)。
 
 一応この制度は二年間の暫定制度という事だったのですが、先日球団側は「今年度の制度の継続」を決定しました。理由は「この二年間で問題が起きなかったから」。
 一時は読売さん以外は希望枠撤廃に賛成だという話もでていたのですが、とりあえず球団側としては「同じ制度の継続」を決定しました。
 
 しかし、アマチュア側の意見までは分かりませんが、選手会が希望枠に反対しているのは明らかで、両者の意見の擦り合わせの段階で対立が起きる事は必至な情勢でした。そしてここに来て「現行制度でも問題が起きた事が判明」した。
 「問題が起きない」という主張を完全に否定できるのですから、交渉の手札としては最高です。世論も希望枠反対に傾くでしょうし、タイミングとしては最高だったのではないか。
 
 勿論、これは証拠なんてないのであくまで「推論」です。とはいえ、正直ここまでタイミングが良いとそういう疑いは出て来て当然なのではないかなと。そしてこの推論が正しいならば、おそらく狙い通り制度は変わっていくでしょう。
 
 とはいえ、制度を変えれば不正はなくなるのかといえば、これも疑問です。選手会が主張している完全ウェーバーでも交渉拒否の権利は残る以上、事実上の逆指名のような事が出来る余地は残ります。(FA短縮も問題だとは思いますが、ひとまず置いておきます)
 それに対しても「拒否した場合は数年プロ野球に入れない」等の制度を作って対処する方法がない事もないですが、アマチュア側に受け入れられるとも思いませんし、高校生ならともかく、年齢的にプロ野球に入れる上限になりつつある大学、社会人の選手にとっては、職業選択の自由の事実上の制限にもなりかねません。
  
 選手会、球団側、それぞれに主張はあるのでしょうが、この問題を「自分達の主張を押し通すための手段」としてではなく、どうあるべきなのかを考え直すきっかけにして欲しいというのが本音の所です。
 
 利益供与を受けた選手が誰なのかとか、その手の話はあまり有益とも思えないのでやりません。(ある程度予想はつきますがね。今年某球団が指名したK投手とか)